1. 気管支鏡検査とは
喉から肺の中までの空気の通り道を気管・気管支といいます。
気管支鏡という直径4~6mmの細い内視鏡(胃カメラよりもずっと細いです。)を口から肺の奥に進めて、気管・気管支の表面を観察し、腫瘍や炎症などの病気や異常がないかを確認することができる検査です。
ただし、カメラが入れない肺の本当の奥までは観察できませんので、肺の異常のすべてを必ずカメラで見つけられるというわけではありません。
2. 検査の目的
カメラで見える範囲に病気がないかを確認する以外に、この研究では皆さんの気管支の表面の細胞を頂き、解析することを目的とします。鉗子という数ミリの小さなハサミのようなものや、小さなブラシを用いて気管支の細胞・組織を少しだけいただきます。いただいた組織・細胞は保管し、どのような細胞が存在するか、また病気にかかわる遺伝子が活動的になっているかについての解析を行います。それによって、喘息やCOPDといった病気の原因や将来の治療標的を探求します。
3. 検査の負担や時間は?
検査自体は15~20分程度の見込みです。
検査前に喉に麻酔を行い、検査後に体調の確認を行うので、病院にいる時間全体としては2時間半程度を予定しております。
10:00 | 病院集合、麻酔開始 |
11:00 | 検査開始 |
11:20 | 検査終了 |
12:30 | 病院で休んで、帰宅 |
この検査は日常的には保険診療で行われる検査ですが、今回は研究のための検査ですので、検査費用は当院で全て賄います。よって皆様の金銭的なご負担はありません。
また、検査時間を少しでも短くしたい場合は病気の有無の観察は省略し、気管支の細胞・組織を頂く検査のみ行うことも可能です。
4. 検査はつらくないの?危険性は?
検査の前に咳や喉の不快感を抑えるための筋肉注射や吸入の麻酔を行います。
また検査中にも麻酔を使いながら行います。全く辛くないということまでは至らないかもしれませんが、身体的な負担は最小限になるように検査を実施します。全身麻酔ではありませんので、検査中は意識はある状態で、担当医師と常にコミュニケーションがとることができます。
またどのような検査や治療にも危険性は伴いますが、気管支鏡検査の危険性として代表的なものに、麻酔のアレルギー、出血・血痰、検査後に発熱など肺炎を起こす可能性、喘息発作を誘発する可能性などが報告されています。
上記を配慮し、病気の状態が不安定な患者様や他の病気の関係で検査の危険性が高いと考えられる患者様には、この気管支鏡の検査は行わない方針です。
5. 検査のための準備は?
検査の当日は絶食で病院に来ていただきます。お水やお薬については朝起きた時に飲んでいただくことはできます。(コップ1杯以上のお水はお控えください。)
検査の際に麻酔を使いますので、検査後は翌日まで車の運転をお控えください。
検査後は飲食も可能ですが、医師による診察が終了するまではお控えください。
6. どんな人に検査をするの?
本研究(PIRICA研究)にご協力いただける患者様のうち、喘息とCOPDの両方の病状を併せ持つ患者様を対象とします。
その中で、医師が適切と判断した患者様において、気管支鏡検査の実施を検討します。
7. 検査後に体調が悪くなってしまった場合は
私たちの病院では、一般診療において、ある程度ご高齢の方や肺の病気をお持ちの方にもたくさんの気管支鏡検査を行っています。そのほとんどの方は健康上問題なく、検査を終了しますが、万が一何か体調に影響があった場合は当院にご連絡ください。適宜、診察・治療をさせていただきます。(この診察は保険診療になります。)
また検査終了後1~2週間を目途に、検査担当医からお電話で体調を確認させていただきます。もし何か不安な点がありましたら、その時にご相談いただくことも可能です。
気管支鏡検査について、より詳しく知りたい方は以下の日本呼吸器内科学会のホームページもご参照ください。