第一内科の時代から現在(2022年8月)までに私たちが肺高血圧症との診断を確定し診療を行ってきた患者さんは約350名です(図1-1,図1-2)。

図1-1 呼吸器内科における肺高血圧症診療(病型別比率)
図1-1
図1-2 呼吸器内科における肺動脈性肺高血圧症診療(病型別比率)
図1-2

肺高血圧症は1-5群の5病型に分類され、当科では1群の肺動脈性肺高血圧症を最も多く診療し、続いて慢性血栓塞栓性肺高血圧症、肺疾患・低酸素血症に合併する肺高血圧症を多く経験しています(図2)。

図2 当科で診療した肺高血圧症の病型分布
図2

肺高血圧症は疾患特異的な症状が乏しく、診断や治療が遅れてしまうことが多い疾患です。その中で私たちは私たち以外の診療科や他施設と連携することが早期診断・治療を達成する上で極めて重要と考えています。
例えば北海道大学病院 リウマチ・腎臓内科 は全道から膠原病の患者さんの紹介を受け、高いレベルの診療・研究を行っています。
膠原病は肺高血圧症の重要な基礎疾患でもあり、私たちも多くの患者さんの紹介を受け、協力して診断・治療にあたっています。
図2に示す通り当科で診断した肺動脈性肺高血圧症の半数以上は膠原病に合併した肺高血圧症となっています。
また、循環器内科 とは心臓エコーや運動負荷試験、消化器内科 とは門脈圧亢進症に伴う肺高血圧症、循環器外科 とは慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対する内膜摘除術、放射線科 とはCTや心臓MRI、などの関わりの中で緊密な連携を保ち現在に至っております。
これらの協力体制は診療の質や患者さんの予後、および研究面でも非常に重要であり、その重要性は今後更に増していくと考えています。