私たちは新しい治療薬・治療法にも積極的に取り組んでいます。
現時点で最も効果が強いとされるプロスタサイクリンの持続静注療法のほか、同剤の吸入療法・皮下注療法、作用の異なる薬物の組み合わせなども行っています。
効果のメカニズムが異なる薬剤併用の効果は国内外で多数報告されており、私たち自身も併用療法により短期間で病状が改善したという経験を多く有しています。

また、私たちはCOPDや間質性肺炎など肺の疾患に合併した肺高血圧症の患者さまも多く診療してきました。
肺疾患合併肺高血圧症(第3群肺高血圧症)は治療が難しい病型と広く考えられていますが、中には肺血管拡張薬によりお元気になる患者さまも決して少なくありません。こういった特殊な病型の方については肺、心臓、全身に対する広い知識や経験が必要であり、そのような患者さまに対する診療にこそ今後さらに力を入れて行きたいと考えております。

慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対するバルーン拡張術や血栓内膜摘除術なども行っています。
このうち、バルーン拡張術についてはKKR札幌医療センター循環器内科で施行できる連携体制を確立し、よりスムーズに治療を行えるようになっております。
また、血栓内膜摘除術は当院の循環器外科でこれまでに15人以上の患者さまが手術を受け、皆さまお元気に退院されております。
加えて、肺移植については岡山大学京都大学 あるいは東北大学 といった肺移植が可能な施設との連携体制を確立しており、患者さまの病状や状況に合わせて相談できる体制となっております。

最後に、北大病院では治験というしくみにより通常の病院では使用できないような治療薬の使用も可能です。北大病院では臨床研究開発センター が担当部署となります。
そういった新薬を適切な手順で患者さまに届けることで、実際お元気になった患者さまも少なくありません。
またそういった治験にご協力頂いたことで、新しい薬が日本や世界の他の肺高血圧症患者さまが使えるようになったことも治験の重要な側面と考えています。
2020年5月の時点でも複数の治験を行っており、今後も治験施行施設としてさらに患者さまのために役立っていきたいと考えております。