今野 哲 教授
当教室のホームページへアクセスしていただきありがとうございます。私たちの教室は、2021年11月1日に、開設100周年を迎えました。北海道で初めての医育施設(大学病院)であり、これまで多くの方がたに支えていただきながら、長い歴史を歩んでまいりました。いっぽう、2021年10月より、北大病院における当科の名称が、「呼吸器内科」となりました。これは、患者さんの視点から考えますと、どの臓器を主に診療しているのか ということを明確にしようとする時代の流れであると考えます。
しかし、私たち同門会の名称は、「北大医学部第一内科」のままであり、この名称は、今後もなくなることはありません。その理由は、北海道に求められる(内科)医師像を考えますと理解できます。今後、本邦は、超高齢化社会を迎えますが、北海道は、広大でとても魅力があり済みやすい土地であるいっぽう、北海道全体に均等な医療が提供できている現状とは決して思われません。よって、北海道で勤務する医師には、専門範囲を超え、患者さんの全身を診る器量が求められます。本教室の長年の伝統として「全身を診られる良き臨床医を育てる」という確固たる理念があり、教室員の誇りとしているところです。この姿勢は、平成30年度から導入された新内科専門医制度の理念も基づくものでもありますが、私たちの教室では、従来の研修システムを踏襲し、関連病院においては、呼吸器以外の多くの領域も研修できることが大きな強みです。
そして、何よりも、当科及び同門の皆様は、新型コロナウイルス感染症流行に際して、診療の中心的存在して活躍されており、心から尊敬できる方々ばかりです。もちろん多くの他の診療科の先生がたの応援をいただきながらではありますが、北海道におけるこの難局に対し、多大な貢献をされている先生がたが大勢いらっしゃいます。同門の皆様の心労は図り知れませんが、社会的使命感を持ち、診療に向かう姿勢に、ただ感激するばかりです。
私たちの教室は、臨床、研究に加え、教育を熱心におこなうことも誇るべきことであり、すべての構成員が後輩を教えることを当然と考える教育環境や、さまざまな背景をもった人材を道内外から積極的に受け入れる雰囲気を持っています。もしも当科を見学に来られた時には、皆からの親切な説明、教育の熱意に驚くことでしょう。また、内科学分野の教室として女性医師が多いことも特徴のひとつです。男女問わず、それぞれにおかれた社会環境は異なる訳であり、決して互いを比較することはせず、自分にできる最大限の貢献を果たすことで、互いを理解し尊敬しあうことが、大きな組織を保つ重要な点と考えます。
また、当科には外国人スタッフも所属しており、学生実習の中にも英語教育を取り入れています。これは決して英語ができばければ、当科では気まずいという事ではなく、むしろ英語の得意でない皆様も、各個人においてのレベルアップを目指しており、英語が得意であるか否かは個人の評価につながることではありません。
北海道大学に課せられた使命は、ともすると、本州の大都市圏の大学と比較し、高いレベルにあるものと考えます。それは、道内の深刻な医師不足から、地域医療への貢献は必須であり、いっぽうで世界に発信する研究の遂行も常に要求されます。そして、この両者にこれまで応えてきたのが北海道大学医学部です。当科は、北海道で初めて設立された診療科としてその誇りを胸に、この高きハードルを維持することを目標とし、今後も多くの先輩方のご指導を受けながら、そして将来を担う若き学生、医師達にその伝統を受け渡し、本学、北海道、本邦、そして世界の医学界をリードする存在であり続けることを目指していきます。
(2021年11月記)