北海道大学大学院医学研究院 呼吸器内科学教室 北海道大学病院 呼吸器内科 Department of Respiratory Medicine, Faculty of Medicine, Hokkaido University

2013 特集記事

2013 特集記事特集No.2 出産・育児について語る女性医師特集

特集No.2 キャリアイメージを知る 女性医師座談会

呼吸器内科の女性医師に、出産・育児について語っていただきました。

>> 呼吸器内科における女性医師のサポートについて

A先生(卒後7年目)

勤務について

一昨年春に出産し2歳の子がいます。
子育ては初めてで仕事と両立できる自信がなかったので、少し長めに育児休暇をいただき、昨年秋から北大病院で復帰しました。最初の半年は、ペースをつかむため週3日勤務で復帰し、慣れてきたので今年度から週5日勤務にしています。子供が幼いため、夕方5時には帰らせていただき、当番・当直は免除していただいてます。同じグループに子育て中の先輩の女医さんがいるので、とても心強く、どのように家事をこなしているのかなど、仕事以外のことも相談させていただいたりしています。

育児・託児について

保育所は、北大構内にある北大病院保育園ポプラにお世話になっています。敷地内にあるので、送り迎えが比較的楽ですし、しっかり子供のことをみてくれていて安心して預けています。最初は、早くから集団生活させることに抵抗がなかったわけではないのですが、実際に預けてみると、とても楽しそうに過ごしているようで、急スピードで社会性が身についてきているのをみると、預けてみてよかったなと思っています。

また、院内(歯学部付属病院内)に病後児保育室ぶらんがあり、こちらもたびたび利用しています。風邪の治りかけの時期などに預けているのですが、ポプラにいらっしゃる先生がみてくださっているので、子供も安心して療養できているようです。ただ、子供が熱を出した時は、北大にはまだ病児保育の制度が無く、両親が遠方のため協力も得られず、主人と交代で通院・看病している状況で、月に数回、早退・お休みさせていただくことがあります。私が所属している循環・代謝グループは、決して人数は多くはないのですが、やさしく、理解のある先生方ばかりで、サポートしていただけているので本当に働きやすい環境に恵まれていると思います。

後輩の先生へ

私もそうでしたが、結婚・妊娠・子育てと仕事が両立できるかどうか、不安はあると思います。特に、子育ては経験するまでは、イメージもつかないので不安でした。でも、呼吸器内科には、子育てしながら仕事もこなされている先輩がたくさんいますし、周囲の理解もあり、支援体制が整っている科だと思います。やる気さえあれば、仕事が続けられる環境がありますので、ぜひ、一緒にがんばってみませんか。

特集No.2 キャリアイメージを知る 女性医師座談会

B先生(卒後12年目)

勤務について

第一子である娘を出産後、5ヶ月で復職しました。最初の半月は「慣らし保育」のため、早退、早退、、また早退の日々でしたが、グループリーダーの、「復帰のためのリハビリ期間と考えているから、無理のない勤務で良いよ。」という暖かい言葉もあり、焦らずに戻ることができました。
復帰後は、病棟業務を中心に、外来診察を半日、外病院のパート勤務を半日しています。当直や時間外勤務は免除して頂いています。

育児・託児について

娘は丈夫で手のかからないタイプの赤ちゃんだと思いますが、それでも2か月に1度ぐらいは発熱したり、体調を崩したりします。そんな時は申し訳ないと思いつつお休みを頂いています。グループの先生方が嫌な顔一つせずに業務を引き受けてくださり、本当にありがたい限りです。

私の実家も夫の実家も札幌市内にはなく、基本的に夫婦2人でどうにか都合をつけやっていくしかありません。なかなか厳しい状況ではありますが、度量の大きい上司や同僚の先生方、また毎日楽しそうに保育園へ通園してくれる娘のおかげで、復職から1年3か月を無事に過ごすことができました。まさに、周囲の配慮や協力のあってこそ今の自分があるのだと実感しています。

特集No.2 キャリアイメージを知る 女性医師座談会

C先生(卒後9年目)

勤務について

私は現在、6歳、4歳、0歳の3人の子供を育てながら、札幌市内の関連病院に勤務しております。第一子は研修医2年目のときに出産しました。卒後3年目で入局し、3・4年目は大学病院にて研修し、5年目以降は現在の関連病院で勤務させて頂いております。

大学病院で勤務していたときには、上級医の先生の指導の下、病棟主治医をしておりました。その際は、子育て中であることを考慮して頂き、夜間のコールや当直および休日のグループ当番を免除して下さいましたので、平日の帰宅後や休日は安心して子供と過ごすことができました。第二子を妊娠中は、体調が優れない時期もありましたが、グループの先生方のご厚意により、勤務を軽減して頂き大変助けられました。

現在の関連病院では、5・6年目は凖フルタイム(当直なし)で外来・病棟とも担当していましたが、平日の17時以降のコールや休日当番は免除して頂いておりました。週2-3回の外来をこなしながら、病棟主治医(多いときでは15人程度を担当)をして、18時前に仕事を終えるというのはとても大変でしたが、同僚の諸先生方が本当に良く支えて下さったので、頑張ることができました。7年目以降は、週3回の外来のみ担当する(科のカンファレンスや勉強会はできるだけ出席しています)勤務形態にして頂き、家庭のことも落ち着いてできるようになり、子供の教育にかける時間も持てるようになりました。そして8年目の冬に第三子を出産しました。

育児・託児について

これまでの託児についてですが、病棟を担当していた頃は、ベビーシッターさんや保育園を利用してきました。外来のみの勤務となってからは、子供達は幼稚園に入れ、仕事が遅くなるときは幼稚園の預かり保育を利用したり、幼稚園が休みの際には保育園を利用したりしています。また、第一子が生まれたころからずっと来ていただいているベビーシッターさんに、今も何かあればお願いしていて、今年の2月に第3子が生まれてからも随分と手伝ってもらっています。安心して子供を預けられる人やシステムがあると本当に助かります。

後輩の先生へ

私の家庭は、私の両親と同居をしているものの、両親・夫は現在もフルタイムで働く医師であり、夫の両親は近くにおらず、育児を任せられる家族がいない状況です。このような家庭状況ですが、西村教授のご高配を頂きまして、また一緒に勤務する諸先生方に支えられ、3人の子供を持ちながら内科医としての仕事を続けられていることを本当に幸せだと思っています。女性医師にとって内科は大変というイメージがあるかもしれませんが、色々な勤務形態が取れるのも内科医のいいところだと思います。そして呼吸器内科学はとても興味深い分野ですので、是非一緒に北大呼吸器内科で働きませんか。みなさんの入局を待っています!

特集No.2 キャリアイメージを知る 女性医師座談会

D先生(卒後15年目)

勤務について

7歳と2歳の子供がいて、3人目を妊娠中です。
現在はパート勤務で、平均週4日、一日の勤務時間は半日からフルタイムまで曜日により異なりますが、平均6時間程度です。大学病院とその関連病院での外来診療を主に行っています。夫も市中病院の勤務医で、平日はもちろん、土日も当番などで家にいないことが多く、かつ両家とも実家は遠方のため、子供の発熱時など急な応援は全く期待できない環境です。

育児・託児について

育児と仕事の両立で、やはり一番困るのが子供の急な病気です。そんな時は市の緊急サポートネットでベビーシッターを自宅へ派遣していただいたり、北大病院の病後児保育にお願いしています。どうしても都合がつかないときは、勤務の交代を医局の先生にお願い(泣きついて)することもあります。周囲の先生方の協力でなんとか、なんとか、医者のはしくれの仕事をしています。

以前、地方の関連病院に勤務させていただいた時、シッターさんの派遣が札幌ほどスムーズに行かないことも多く、一内同門の先生にかなり助けていただきました。この病院では外来のほか、検査や病棟診療もお手伝いさせてもらい、久しぶりに臨床第一線の空気を吸うことができて自分自身にとっても大変勉強になりました。しかも当直や夜間の呼び出しは免除していただいていましたので、本当に恵まれた勤務条件でした。

後輩の先生へ

正直に言うと、自分が学生時代に描いていた医師像と、現在の自分は大きく違いますね。しかし今振り返れば、研修医時代は一生懸命仕事をやって、そして現在は家庭育児と仕事を、自分なりのバランスをとりながら、両方楽しめている気がします。どちらも中途半端なのかもしれませんが、どちらのストレスも適度に発散しつつ続けられています。自分の置かれた状況に応じて臨機応変に対応していく、そしてそれを許していただける職場環境の選択が重要かもしれません。

特集No.2 キャリアイメージを知る 女性医師座談会

E先生(卒後11年目)

勤務について

現在、出産後2カ月で、産休中です。
妊娠前から、地方の病院で病棟勤務はせずに外来勤務をしておりました。妊娠経過が順調だったこともあり、特に外来業務に支障ありませんでした。しかし、もし妊娠中に何かトラブルがあっても、周囲の先生方からは可能な範囲でバックアップしていただけると言っていただいておりました。ただ、悪阻の時期は大変でした。時間との勝負の外来ですので、途中で長い休憩をとるわけにもいかず、気合いで乗り切った気がします。

育児・託児について

非常勤で勤務していたこともあり、出産を機に一度完全に職場を離れました。今はまだ具体的にいつから仕事を再開するということは決まっておりません。近くに親兄妹等気軽に頼ることのできる親族もいなく、夫も同業者で多忙であり、自分自身が仕事も家事育児も両立できる様な器用な人間ではないため、可能であれば外来を中心とした勤務ができればいいなと思っています。

あまりに臨床から離れすぎると、〝勘〟が鈍ってしまいそうなので、需要があればあまり期間をあけずに再開したいとは思っております。とはいっても、今現在家事育児で手一杯で、さらに仕事ができるのか心配ではありますが。

特集No.2 キャリアイメージを知る 女性医師座談会

F先生(卒後6年目)

勤務について

私は医師4年目の秋に妊娠しました。妊娠発覚2ヶ月後くらいから、つわりの症状が始まり、当時フル勤務していましたが、体力的にきつくなりました。まず、妊娠したことを医局長に報告し、現在の状況を伝えたところ、大学から外来に応援の医師を派遣してくださり、負担を少なくしてくださいました。また、当時働いていた病院では、上司が体調を配慮してくれ、時間外の呼び出しや当番、夜間当直を外して頂きました。ご配慮して頂いたことに感謝の気持ちでいっぱいです。

現在、週3回、時短勤務で復帰しております。私の両親は道外で、夫の両親も遠方で働いていますので、私が仕事に復帰するにあたり、身近にサポートしてくれる人はいませんでした。そのため、必然的に病院の保育園に預けることとなりました。保育園に預けても発熱などでお迎えの電話がきたり、勤務当日の朝に突然の発熱などで、欠勤することもあります。ただ、現在勤務している病院では、復帰する前から、妊娠・出産した医師のサポート体制、無理のない勤務体制にして頂き、また、実際欠勤した際には先輩、後輩など頼りになる仲間がいて、助けられています。

復帰する前は、1歳にもなっていない子供を保育園に預ける事や、1年近くのブランク、勤務しても突然欠勤になることも考えると周りの人たちへの影響など不安もありましたが、実際働いてみると環境に恵まれているとは思いますが、自分で今できる事を少しずつでもこなせており、育児をしながら少しずつでもキャリアを重ねることができ、また生活にもメリハリがついて良かったと感じています。

後輩の先生へ

妊娠、出産してからも仕事面や生活面でも色々不安なことは多かったです。
しかし、呼吸器内科では出産され働いている女医さんも身近におり、先輩ママさん達に仕事の復帰のことやそれ以外の育児のことなど色々アドバイスをもらいました。今後、妊娠・出産を考えている方は、実際そのように働いている人が多く、妊娠・出産を考慮しサポート体制を整えてくれる場所が安心して勤務できるのではないでしょうか。

特集No.2 キャリアイメージを知る 女性医師座談会

G先生(卒後10年目)

勤務について

現在妊娠6か月です。妊娠前は、週1回大学の外来と外病院へパートに行き、その他の時間は動物実験や臨床研究をしていました。
妊娠2-3か月はつわりで、通常の勤務を行うことがやっとでした。その際、医局の先生方に当直などを交代していただき、とても感謝しています。
妊娠4か月からは医局からのご配慮により、週1回の大学の外来を行い、当直は免除していただいております。 体調は安定してきましたが、夜遅くなると疲れやすくなりますので、十分休むよう心がけています。

現在は、出産に備えて楽しみながら準備したり、名前を考えたりしています。
子育てをしている先生に保育園や育児用品など教えてもらいとても助かっています。
周りに頼もしい先生方がいて、気軽に聞けるのがうれしいです。

自分が妊娠するまでこんなに生活や体調が変化すると思っていませんでした。
呼吸器内科は出産後も仕事を続けている先生が多いので、アドバイスをいただいたり、いろいろな配慮も行き届いていると感じます。

後輩の先生へ

出産後は大変なことが多くなると思いますが、仕事と研究を続けていきたいと思います。
みなさんも是非呼吸器内科に入局して、充実した仕事とプライベートを実現させて欲しいと思います。

特集No.2 キャリアイメージを知る 女性医師座談会

H先生(卒後12年目)

勤務について

妊娠中の被曝を伴う検査は病棟の他の先生方に代わって行なってもらいました。8ヶ月目からは病棟勤務を外してもらい、遅い時間のカンファレンスも欠席させてもらいました。妊娠中の国内、海外学会発表も多くの先生に(含 西村教授)代理発表をして頂きました。現在は産前休暇中です。私は妊娠初期のつらさが重篤ではなかったのですが、お腹の目立たない初期の方が体調がすぐれないので、もしかしたら一番必要な時期に周りのサポートを受けづらいかもしれないと思いました。

育児・託児について

外来業務は同じ非癌グループの大学院生の長岡先生に、外勤は同じ科の夫に代行してもらっています。産休中の研究業務も多くの先生に助けてもらっています。産休中は最後の穏やかな日々なので、出産育児経験をされたいろいろな先生のお話を聞きながら、出産後の育児・仕事継続の準備をしつつ、雑誌で読んだ「出産前にしておくことリスト(おしゃれなレストランで食事、映画館に行くなど)」などから楽しい行事を計画しています。

後輩の先生へ

呼吸器内科は女性医師が多く、いろいろなライフスタイルを保ちながら勤務が可能であると実感でき、私自身心強く感じています。これまで呼吸器内科の研修をしつつ、希望にて大学院卒業後も研究を継続しています。一方、当院の女性医師等就労支援事業という女性医師の勤務継続には何が必要かを考えていく部門にも関わっておりますが、こうあるべきというロールモデルはもしかしたら適切ではないのでは、と思っています。医師として、研究者としての道を極めることは、素晴らしいと思いますが、それは全ての人にとって同じ道で、同じ目標かというと、もっと広い解釈があるように感じます。むしろそれぞれの状況・考え中での最善の道を模索し続けることが大事で、それをサポートしうる環境が今後さらに求められてくると思います。いろいろな先輩や家族との相談を重ね、自分のキャリアの中で大事にしたいことをある程度イメージして、できることをできる範囲で継続していく意志を持ちたいと思っています。もちろん、周りの先生方のサポートが必須で、幸い呼吸器内科は教授をはじめとして女性医師への理解を前向きに行なってくれていると実感していますので、感謝しつつ、自分が還元できる部分はきちんと関わって行ければと思っています。

特集No.2 キャリアイメージを知る 女性医師座談会

2013 特集No.2 出産・育児について語る女性医師特集呼吸器内科における女性医師のサポートについて

呼吸器内科は女性医師の多い診療科として知られています。平成25年4月現在の大学病院在籍者数は9名であり、うち助教以上の既婚女性のスタッフが3名所属しています。その要因として、女性医師の様々なキャリアに対応できるような人事が以前から行われており、また女性医師をサポートする体制を医局として整えていることが挙げられます。例えば、結婚して子育てしながら大学で臨床・研究・教育の全てに携わる先生もおられる一方で、「すくすく育児プラン」の医員として大学病院の外来・病棟勤務と教育に携わっている先生も複数います。また、結婚後は外来業務を中心として関連病院で働いている先生もいます。呼吸器内科はこれらの全てのスタイルを尊重し、応援しています。他診療科の先生と結婚された女性医師の場合は原則としてご主人の勤務地に合わせて勤務先を決めます。また、科内結婚も多く、男女問わず円満な家庭を築いています。「素敵な女性」である女性医師が様々なキャリアパスで活躍している呼吸器内科は、全国的にみても時代の先端を走っているのです!

当科の特徴
  • 結婚したら家族と同居できるように、道内の各病院あるいは他科とも調整します。すなわち、「つがい」が基本です。
  • 産前産後の休暇は十分に取得することができます。
  • 大学病院の当直業務などは妊娠中と産後の一定期間は免除します。
  • 妊娠・出産時には大学病院・関連病院勤務に関わらず、医局員による人的援助を行います。
  • 学内・学外を問わず、多くの育児中の女医さんが外来のみ、あるいは9〜17時の勤務で活躍しています。
  • 定期的に女性医師の意見交換の場(PJ会)を開催しています。
  • 女性医師のロールモデルとなる先生が多くいます。
  • 女性医師に関しての取り組みに関わるスタッフがいます。
    女性医師等就労支援事業:清水 薫子 先生
    北海道女性医師の会理事:長井 桂 先生