北海道大学大学院医学研究院 呼吸器内科学教室 北海道大学病院 呼吸器内科 Department of Respiratory Medicine, Faculty of Medicine, Hokkaido University

2012 特集記事

2012 特集記事特集 No.3 現地レポート

留学だより 73期 菊地 順子

73期 菊地 順子

2011年1月よりアメリカのマサチューセッツ州のボストンにありますマサチューセッツ総合病院がんセンター、Mike Birrer先生のもとで研究を行っております。このラボは卵巣癌ラボです。自分の研究テーマは卵巣がんで高発現している転写因子soxについてで、sox遺伝子が卵巣癌の進展にどのように関わっているか、等をメインに研究しています。元々自分は呼吸器科医であり、肺癌に興味を持ち、これまでは肺癌を研究テーマとしていたのですが、心機一転、アメリカで卵巣癌の研究に勤しむこととなりました。

同僚は計6名、同じフロアでは他の研究室も合わせ、計20人ほどが朝から晩まで一心に研究しており、活気に満ちあふれた環境です。世界トップレベルの研究者達に囲まれ、 discussionなどついていけないことだらけですが、このような世界を垣間見ることができ、自分には場違いな所に来てしまった感は否めませんが、こうやって世界の研究は進んでいるのだなと只々驚く日々です。

マサチューセッツ総合病院は始めて全身麻酔をした病院ということでも知られているとおもいますが、今でもその場所がエーテルドームという名前で残されており、雑誌New England journal of medicineで掲載されるcase reportを病理報告会のような形で聞きに行ったりできます。また、各種肺関連のレクチャーもほぼ毎日開催されており、研究の合間にそのような呼吸器臨床も勉強することができます。

また、研究室には色々な人がいて、研究室を自分で立ち上げることをめざしている人、ポスドクとして海外から来て研究をする傍ら医師国家試験に合格し、レジデンシーを始める人、テクニシャンとして仕事をしながら勉強し、医学部に入学する人など、キャリアアップに励んでいる人が多く色々と刺激を受けます。電車の中の広告でも、これからキャリアアップ始めましょう、入学手続きはこちらまで、何歳でもOK、みたいな広告を多くみかけます(ボストンは大学と病院の町、といってもよいくらい数多くの大学、病院があります)。

また、ボストンは過ごしやすい気候で、海もあり、緑も多く、市内をちょっと散歩するだけでも、観光客気分が味わえます。中華街、イタリア人街もあり、その他インド、韓国、中東料理、(もちろん日本食も)なども楽しめ、野球(red sox)をはじめとするスポーツ観戦、ボストン交響楽、バレー、美術館など文化的にも充実した街です。このようなことを楽しめるのも、留学生活の醍醐味です。

英語圏での海外留学は中学生の頃からの20年以上も抱き続けていた夢であり現在その海外生活を満喫している訳ですが、夫、6歳、3歳の子供と共に渡米し、研究以外にも、主に子供達の学校を介して、色々なアメリカ文化等に触れる機会も多く、西村教授を始め呼吸器内科の諸先生達の心強いサポートのおかげで、このような経験ができ、本当に感謝しております。この経験は私の宝物です。残り一年少しとなりましたが、精一杯こちらの生活を楽しみたいと思います。